モノが増えるということ
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/25 モノがありすぎるということ
先日,自宅に友人を招いたら「おじゃましました」でも「泊めてくれてありがとう」でもなく,たった一言
「モノが多いかな」
と言われた。
正直かなりむかついた。代官山のunicoでさんざんインテリア話を聞いたあとで「私の部屋どう思う?」って言ったら「モノが多い」とだけ言われた。マジで目眩がした。さんざん友人の会話の端々に「いいねマーク」を付けた後だったので本当に面食らった。
インテリアにこだわりが強いわけでもないけど,こだわりがないわけでもないし,バタバタしたなかで部屋を片付けて,シンクを磨いたり毛布を洗ってふかふかにしたりタオルを用意したりいろいろしたあげく
「モノが多い」
だけの感想だったので私の自己顕示欲は代官山の空気に塵と消えていくしかなかった。
あまりに愕然としていたのかいつのまにか季節外れの蚊にさされ,かゆい足をひきずって代官山をあるくはめになったけど,こうやって今,文章にしてみるとなんて心の狭い私。
しかし,冷静に考えてみると,本当にモノが多い。
引っ越してきて以来かなりのものを捨てたけど,それでもまだ多い。
現在のマンションになる前,私は家族向けのマンションに住んでいて,6畳のリビングに42型のテレビを置いても窮屈ではなかったし,9畳の部屋を割り当てていたので,大きい家具を置いても余裕だった。しかし現在のマンションは単居用なので,42型のテレビとテレビ台と合体すると壁の半分を占領するし,子供の頃から使っている木製のがっちりしたベッドは部屋の1/3を占拠する。3人用で買った冷蔵庫は高さがありすぎて,1人用と違い上にレンジなどを置くことが出来ないから,ユニットシェルフを使って食器棚を作ったけどそれを置いてると台所が狭い。
家電や家具が大きいということはもうどうしようもないし,欲しいベッドも家具もないので変えるつもりがないとすると,やっぱりネックなのは「モノ」なのだ。
なんでモノは増えるんだろう。
原因は…
人がモノを欲しい,あれも欲しいこれも欲しいブルハ状態に陥るきっかけは「憧れ」だとおもう。
きれいなモデルが颯爽と身につける服。「わたしのバッグの中身」特集。伊勢丹のショウケース。伊勢丹のショウケース伊勢丹のショウケース伊勢丹のショウケース…
この「わたしのバッグの中身」特集とか,そういうのがいけない。あれはモノ集めの起爆剤。自己顕示欲の煮こごりのような自分があんな特集を読めばそりゃ,いらないものも増える。
いらないコード。
いらないケース。
いらない付録。
いらない化粧品。
いらないネイル。
いらないCD。
いらない書類‥。
本当に必要なのは,「いますぐ欲しい!」という気持ちを押さえる自制心じゃないか,と思う。
「どうせ買うならこのおしゃれでこの素材でこのデザイナーがつくったこのおたま。」
みたいなこだわりにうっとうしさを感じていたけど,「いらない」モノを増やさないためには,それくらいのこだわりと取捨選択を経て手に入れるくらい,厳選したモノを置くべき場所にちゃんと置く生活空間に対する想像力が必要なんじゃないか。
そんな事を考えながら,「週末は掃除をしよう」。そう思った。