みたまま感想:THE MASTER[4/1]
マスター…
監督:ポールトマスアンダーソン(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
主演:ホアキン・フェニックス,フィリップ・シーモア・ホフマン,エイミー・アダムス
あらすじ
第二次世界大戦時,海軍に従軍していたフレディは,終戦後,過度のアルコール依存と暴力的な感情の起伏により居場所を見失っていた。ひょんなことから,客船にしのびこんだフレディは,そこで「マスター」と呼ばれる中年の男性トッドに出逢う。粗野で乱暴なフレディだったが,トッドの導きにより次第に,自分自身の過去と向き合い,トッドの世界に惹かれてゆく…
感想
・トッドという男は催眠療法にて過去の自分(過去と言っても前世までさかのぼりますよ)と対峙し,現在抱えるトラウマや病の根源を見つけ,ケアする,というオカルトなメソッドで人々の心を掌握しています。
・このトッド,ベースは「サイエントロジー」(イルミナティじゃないですよ)創始者がモデルと言われています。
(左が創始者,右が映画)
・で,サイエントロジーがなにかというとサウスパークを見ていただけると超わかるのですが(同時にすごいバカバカしいことを言ってることもわかるとおもいますが),有名なのは「カルト」というより「自己啓発」ってことです。でも向精神薬を断固拒否する理由として
「7500万年前、宇宙はジヌー(XENU)という名の邪悪な帝王に支配されており、その世界で人口が増えすぎたのでジヌーは手下の精神科医に薬を使わせて人々を眠らせて冷凍し、輸送機で地球まで運搬し、火山の火口に投げ捨てて水爆で爆破して始末した」(wikiより引用)
とかいってしまうのでカルトっぽい気もしますが。
・で,サイエントロジーの「想起」や「プロセシング」などの単語が実際に出てきますし,「地球の歴史(地球が出来たのは今から45億年前といわれている)よりもはるか昔のことを平然としゃべる(1兆年前にどーのこーの)」など怪しさ満点なのですが,この映画の論点はそこではありません。
・精神と肉体。この2つの大きな柱の安静のため,「マスター」は自分のメソッドをといています。怒りにとらわれない,笑いが大事。しかしトッド自身が時にこれを出来ていないのです。
・トッドを操り,物事をすべて広く見渡している妻は,時にフレディに流されそうになる夫をその手でしっかり引き戻し,フレディにも叱咤をします。
・その手で…ってまあそれが手コキなんですけどね。あのシーン良かったですね。すごいと思います。どっしりかまえた男を操る最高の手口ですね
・自由で放漫なフレディに,ときにトッドが導かれ,そしてどっしりと「君のことが好きなのは僕だけだ」(アーッ)というトッドに気持ちを委ねるフレディ。そして冷酷な妻。
・この3人の人生の流れ。揺蕩い。
・「これ,なんだろう」っていうもやもやした気持ちがふつふつと湧き出る不思議な映画でした。
・すごく映像が綺麗です。エッチなのに。人生,この世は美しい!バンザイ!
★★★☆☆
おすすめ客層
(これかなり人を選ぶと思います)