みたまま感想:みなさん,さようなら[2/10]
お買い物も就職もサッカーも太極拳も恋もセックスも失恋も,なんでも済ませられちゃう。そう,団地ならね。
監督:中村義洋
あらすじ
小学校卒業と同時に,団地から一歩も出ないことを決めた主人公。その主人公をやさしく見守る母と,団地に済む同級生たち。年月がたつにつれて変わってゆく団地の中と外。それでも団地から出ることを拒む。なぜ主人公は,「団地から出ない」のか…。
感想
・団地の思い出。小学校のころ,小学校の目の前に団地があって,同級生も結構住んでいた。でも団地のなかに商店街は無かったし,ここまでの規模でもなかったけど,きっとあの団地に住んで一生を終える人もいるんだろうと思う。
・主人公の「心の闇」というか「拭えない一生のトラウマ」。砦のように彼を守る団地のコンクリート。そしてお母ちゃん。おかあちゃんがいいんですよね。
・大塚寧々のお母ちゃんの佇まいがとってもいいです。静かなまなざし。
・団地って壁一つはさめば知らない人が住んでいるんですけど,ドアのなかは「家」なんですよね。そしてちゃんと見守ってくれている人がいる。
・同級生がどんどんおとなになっていくのと同時に,主人公も性表現だけはちゃんと追い付いているっていう謎展開。でもそこがよかったな。
・おまえどこでその知識を仕入れたんだよ,とかいうのは野暮。野暮。
・となりの波瑠ちゃんがとってもよかったなあ。おかあちゃんの次によかった。
・結局,「団地」っていう関係で主人公の外部との接触のあらゆることが完結していることが大きなポイントなんですね。
・プライベートの時間を大事にするじゃないですか,現代人。でもすぐとなりに,ずーっと自分を知ってる同級生が住んでて,ベランダ越しに会話しながら成長していくっていうのは団地ならではだなあと。
・「ひきこもり」,「過去のトラウマ」を安易に表現せず,ちゃんと尊厳を保って描いているところがきもちよさポイント。世間知らずだけど,それが「純粋」にちゃんと置き換えられてイライラしない。
・波瑠ちゃんといろいろたのしんじゃうところもきもちよさポイント。
・団地×●●っていうものがあるじゃないですか,団地妻とか。そういう,団地のなかではこういうものはこうあっていてほしいっていう無意識の願望もちゃんと表現されていて,ほんといい団地映画です笑。
・ラブシーン(文字通り)にも,昭和的エロ,団地×恋というものに期待する通りの色気とやわらかな表現があって・・。団地エロい。
・特筆すべきは「倉科カナとのキスシーン」。そして「妙にエロい田中圭」。エロい!なんていうの!あの悪くて変態な,色男エロ。
・だしかにさらさら流れるような映画なのだけど,後に何ものこらなくていいのだ。これドラマ化しないかな。
・となりでツーンとしながら見てた男性が最後に号泣する程度に,心にじわっとくるいい映画でした。
評価
★★★☆☆
おすすめ客層
・団地住人
・サッカー好きな人
・田中圭
・団地エロが好きな人
・昭和マニア
・疲れてる人
おすすめない客層
・疲れてない人
・団地とかよく分かんない人
@ユナイテッドとしまえん9番