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みたまま感想:ZERO DARK THIRTY[2/22]

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これは決して,強い女の物語じゃない。

 

監督:キャサリン・ビグロー(「ハートロッカー」)

主演:ジェシカ・チャステイン(「ヘルプ」「ツリーオブライフ」)

 

あらすじ。

2001年9月11日。アメリカがウサマ・ビンラディンという人間を敵と認識した日。それ以来アメリカ国家はあらゆる手段でテロリストたちを捕らえ,拷問し,血眼になって彼へのてかがりを探していた。CIAのパキスタン支局に送られた若き分析官マヤ。戸惑いながらもビンラディンへの手がかりを探し続け,繰り返されるテロと過ぎていく時間のなか,ついにビンラディンへの唯一の手がかりである「アブ・アハメド」という名前にたどり着く。彼女の10年間の執念はどんな結末をむかえるのか…。

 

 

・はじめに言っときますけど,全然「プロパガンダ」なんかじゃないと思いますね。

・むしろアメリカの正義ってなんだよ・・って思っちゃう感じ。

・前にかなり問題になった「捕虜拷問」のシーンから始まるんですよ。

・テロリスト=非人間。アメリカ人=正義。全部正義。テロリスト=非人間。この構図がずーーーーーっと続く。

・意図的なまでにね。

・長いですけど退屈なんかじゃないですよ。

・途中,ビンラディンにあまりに執着するマヤに高官が「ビンラディンを殺したからってどうなる?もうあきらめろ」みたいなことを言うんですよね。そこでマヤが「ビンラディンが生きている限りアメリカがテロの標的になる。死ねば他の国に標的になるでしょ!!」ってなセリフを言うんですよ。ものすごい意訳なんでここはちゃんと見てたしかめてほしいんですけど。

・結局その高官はマヤのすごい裏工作によって何の罪もないのに殺される危険にさらされて左遷になるんですよねwww すごいでしょwww アメリカ人ww

・これがTHEアメリカだなって思って違和感感じるんですよ。この映画は,極悪非道なテロリストのボスをうら若きデキる女ががんばって見つけ出し裁く「正義」のなかに「正義とは程遠い違和感」をどれだけ見出すかで面白さが変わると思います。

・だってテロのはじまりはどこが原因?なんだかんだ言われてますがアメリカなわけです(これについては逆プロパガンダ映画のマイケル・ムーア監督作品を見ましょう)。それでテロがはじまって,アメリカの正義のもとに「報復」があって,でまたテロテロテロ。

・マヤはビンラディンを殺してどうしたかったのか。なぜ,見つけ出すことに執着したのか。ソレに関しては一切描かれていません。マヤのスイッチが入った出来事に関しては描かれてるんですけど。本当のマヤの心や,家族や,目的とか私情とかそんなものぜんぜん無視。そこがすごい。

・監督の前作「ハートロッカー」では,戦争最前線で生と死の境に身を置くことに依存しているアメリカ兵がテーマでした。つまり「戦争」がなければ,自分の居場所がない。「戦争」から解放され平和な日々を送っていても,また「戦争」を求めて最前線に戻って行く人たち。

・本作のマヤも同じ。「ビンラディン」を殺すことしかやることがないんです。彼女には他になんのキャリアも実績もありません。高卒で就職して,まもなくパキスタンに派遣されて,ビンラディンを探す。

・じゃあ,ビンラディンが死んだら?そもそも,911がなかったら,彼女がこんなにも「輝く」ことは無かったかもしれない。

・最後の涙の意味は,私は「喪失」ととりました。

・彼女が心血捧げた数年間。この先数年は,一体どうやって生きて行くんだろう。ビンラディンを殺したアメリカは,この先どうやってテロと戦ってゆくのだろう。突入作戦によって親を失った子供たちの未来は…。本当は大きな目的を成し遂げるまでを描いた超大作なのに,思えば思うほど虚しい物語です。

・映画自体の構成としては,結構分かりやすくて面白かったです。

・緩急の付け方がうまいなとおもいました。何もおきないだろうなってところでドカン!これがテロが日常的に行われている感覚なんだと‥。

・特攻作戦の見せ方はすごかった。ヘリバリバリ,ヘリ降りる,ヘリまさかの墜落,からの証拠隠滅爆破!!ステルスドカーン!!

・まさかの海軍!ネイビーシールズ!!ドカーン!!キャー!!

・冒頭の拷問のとあるシーンはなんか女性監督ならではだよな‥とおもってややしらけました。

 

・「バリバリ働く女のひとの話っていいよね!」なんていうクソスイーツのクソ感想はクソまみれにしてフムスにまぜて無理やり食わせたいですね。ちゃんと前を見ろ。

 

評価

★★★☆☆

 

おすすめ客層

・ドキュメント好き

・アメリカ国家に興味津々

・911

ジェシカチェステインファン

 

おすすめしない客層

・アメリカ嫌い

・エンタメ期待してる人

 

TOHOシネマズ六本木 sc5(世界にひとつのプレイブックとはしご)